当時私はまだ大学卒業したて、まだ20代の前半だった。
氷河期真っ盛り、小さな会社になんとか就職したものの将来はまだ安泰とは言い難かった。
そんな時だった。
毎日のように行かされていた外回りで、昼食を食べ終えたあと、私は疲れもあって車の中で寝入ってしまった。
そして会社からの連絡で慌てて起きたあと、再び出発しようとした。
そしてそれがいけなかった。
バックで出ようとしてろくに後ろを見なかったため、途中で止めていた車に軽く衝突した。
運が悪かった。
これが通常の相手なら滞りなくすんだかもしれないが、この相手は半分当たり屋のような人間でネチネチ絡んでくる。
警察も民事にはあまり介入しない。
会社が間に入ったが、車のへこみの修理代と、その間に電車通勤したという理由で合計が三十万近くなった。
大学時代に貯めておいた金は全国の就職活動や自前のスーツ代金に消えている。
ペーペーで会社からも借りれない。
情けなかったが親に泣きついた。
黙ってわたしに話を聞いていた親は叱りはしなかった。
ただ「社会人なだからしっかりしろ」とだけ言った。
それが余計にこたえた。
引退して自適してる親にせびるのだから情けなかった。
親からだから金利はつかなかったが心の負担は強かった。
給料からつまむ形で返していく。
一括でという気持ちもあったが、心の負い目を早くなくしたかったのだ。
最終的に返せたものの、仕事の出発点から傷がついた気がした。
しかしその時に悔しさもあって私は必死になって働いた。
それが後から上司に評価してもらえることにもなった。
親も最後は認めてくれた。
マイナスが帳消しになるぐらいの価値はあった。
だから言いたい。
現在お金で色々苦労されてる方も、潰れず、頑張り抜いてほしい。
それがめぐりめぐって自分の為に還ってくることもあるのだ。
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