お金に困った時は遠くの親戚よりも近くの他人

私は三十代の頃、過労で倒れて一週間、入院したことがありました。

都立の総合病院だったのですが、入院の際には前金を納めなければなりませんでした。その金額は十万円でしたが、あいにく金が無く、困ってしまいました。

その当時は私は既に結婚していて、家内と幼児の長男、乳児の二男の四人暮らしであり、蓄えもありませんでした。当初は手持ちのお金をかき集めれば十万円は何とかなると思ったのですが、本当に全然ありませんでした。

たった十万円の金さえ持っていないなんて、自分たちはなんて情けない夫婦なんだと自己嫌悪の思いが湧き起こってきましたが、しかし、クヨクヨしている暇はありませんでした。十万円は素早く用意しなければなりません。そこで頼りにしたのが、私と家内の友人たちでした。

家内は近場にいる友人たちに連絡して、事情を説明しました。金が無い事実を皆に曝け出すことは恥ずかしかったのですが、背に腹は代えられません。

皆、私の突然の入院に心配し、快くお金を貸してくれました。結局、二人のかたに五万円ずつ借りて、あっという間に十万円は病院に納めることができました。

昔から、遠くの親戚よりも近くの他人、と言いますが、それは本当のことだと思います。

人生、何が起こるか分かりませんので、様々な意味合いにおいて、友だち付き合いというものは日頃から大切にしておくべきです。突然の入院を通して、私はそれを痛感しました。

十万円は次の給料日にすぐに返済しました。

しかし、心配した仲間たちが見舞金をくれたので、生活には困りませんでした。お金に困る時は誰にでもあると思いますが、そんな時、助け合うことができる仲間がいることは何よりです。

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